ニューコメンの蒸気エンジン (組み立てキット)
England
〜得体の知れない、怪しげな実験器具?
いいえ、人類が初めて実用化したエンジンです〜
ヘロンの“エオリアの球”以降、多くの先人たちのアイデアや試行錯誤はあったののの、われわれ人類はエンジン(機関)の発明に関しては、ほぼ1700年間もの空白とも言える時を過ごしてきました。
そして、ようやくイギリスのトーマス・ニューコメンが1712年に完成させた蒸気(大気圧)エンジンが実用化に成功した人類初の記念すべきエンジンとなりました。
一般的に蒸気エンジンと言えばボイラーから噴出す高圧の蒸気を直接利用するようなイメージを持ちますが、ニューコメンは大気圧を上手く利用しましたので別名、大気圧エンジンとも呼ばれています。
ボイラーで発生させた蒸気をシリンダー内に導くと、ピストンが徐々に上昇してきます。ピストンが上昇しきった瞬間に蒸気を閉じ、同時にシリンダー内に水をスプレーします。
すると、シリンダー内の蒸気(気体)は水(液体)となり急激に体積が減少(約1/1700)し、シリンダー内の気圧が下がり(真空に近い状態)、その結果、周囲の大気圧のため、上昇していたピストンが勢いよくシリンダー内に引き込まれます。
ビームを介してこのピストンの一連の動きを揚水ポンプに伝え、水を汲み上げる仕組みとなっています。 このエンジンの出現により、湧水に悩まされていたイギリスの炭鉱では生産性が急激に改善され、後の産業革命への大きな牽引力となりました。 人類にとって正に記念すべきエンジンの1つと言えます。
操作、ストロークのインターバル(12回/分)は本物のニューコメンエンジンと
全く同じです。 5秒に一回、操作レバーを引くとリンケージにより連動したスチームバルブとスプレーバルブがタイミング良く開閉をし、エンジンが動きます。
蒸気の発生状態、操作レバーを引くタイミングや引いている長さなど諸条件によりストロークは変化します。
ドラム缶をも潰す大気圧
ドラム缶を利用した大気圧の実験をご存知だろうか?
ドラム缶に少量の水を入れ、それを火のかけ中の水を沸騰させる。 激しく蒸気を出し始めたら素早く栓を締め冷水をかけ急冷してやる。 すると、ドラム缶内は真空に近い状態になり周りの大気圧により潰れてしまう。 ニューコメンのエンジンはドラム缶を潰す代わりにピストンをシリンダー内に引き込む、つまりこの原理を応用しているのだ。 他にもこの原理(大気圧)を応用したエンジンとしてはマンソンサイクルエンジン、バキュームエンジンなど色々と興味が尽きない。
キット内容
必要なパーツ、素材はすべて含まれています。 また、ビームを除く木製パーツは加工塗装済(現物合わせの孔あけが4箇所必要)みです。
参考組立時間
30時間程度
必要道工具
ドライバー、ペンチ、金切鋸、金切鋏、ハンダづけ用品1式、ボール盤、キリ(1.6,2.5,3.2、4.4、6.4、9.5o)、タップ(3.0o)、リーマー、万力、サンドペーパー、金属用接着剤、オイルステイン、刷毛、リベットガンなど。
組み立てに関して
初めてこの類のキットに挑戦する方には少々手強いかもしれませんが、昔、中学校の技術家庭で習った板金、金属加工、ハンダづけ程度の知識があれば組み立ては可能だと思います。
逆に経験者の方にはとても組み立てやすいキットだと思います。
素材が機能する部品になっていく醍醐味を楽しめるばかりではなく、じっくりと自分で組み立てた模型が実際に動き、さらに操作のコツ、調整方法などが分かってくると、目の前で力強くストロークするこのエンジンに自然の力と、それを利用しようとした先人たちの努力、叡智を改めて実感していただけると思います。
完成時寸法 HxWxD ; 430ox280ox125o、 重さ ; 約2300g
素材 ; 真鍮、銅、スチール、ホワイトメタル、木材等
ボアxストローク ; 1インチx可変(最大2インチ)
ボイラー容量 ; 340cc
燃料 ; 固形燃料(1箱20個入り付属)
ニューコメンの蒸気エンジンkit 希望小売価格 ¥74,000.(消費税別)
落書き
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